「授業ではわかったはずなのに、家で問題を解こうとしたら手が止まってしまう」「定期テストになると、思うように力が出せない」——そんな悩み、ありませんか?
実はこの違和感、学習の根本にある「インプットとアウトプットのバランス」が原因かもしれません。知識を“頭に入れる”だけでなく、“取り出して使う”練習をしなければ、学力は本当の意味で身につかないのです。
本記事では、中高生の学習支援に力を注ぐ山田塾の教育観もふまえて、「アウトプットの重要性」についてお伝えします。
勉強には大きく分けて2つのプロセスがあります。ひとつは「インプット学習」。これは、教科書を読む、先生の話を聞くといった受動的な学びのことです。そしてもうひとつが「アウトプット学習」。これは、学んだことを実際に使ってみる、問題を解く、誰かに説明するなど、能動的に知識を表現する学習です。
多くの生徒が「授業中は理解できたのに、テストになるとできなかった」と悩みます。それは、インプットだけで満足してしまっていて、アウトプットを通じて知識を自分のものにするプロセスが足りていないからです。
人間の脳は、入ってきた情報をただ保持するのが得意ではありません。むしろ、何度も出力され、使われた情報ほど「重要」と認識され、記憶に定着していきます。これを「出力効果(testing effect)」といい、心理学的にも裏付けられている理論です。
たとえば、英単語を見て意味を覚えるだけでは足りません。その単語を使って文をつくる、会話の中で使うなど、アウトプットを繰り返すことで初めて、その単語が自分の言葉として定着していきます。
では、アウトプットの力をどう育てればいいのでしょうか。これは学年によってもアプローチが異なります。
中学生にとって大切なのは、「自分で考える時間を持つこと」です。
こちらが解き方をすぐ教えれば、簡単に進められます。でも、それでは「考える力」が育ちません。
学校の授業を真剣に聞いているのに、テストで点数をとれないのはこれが理由です。
問題に向き合い、自分なりに試行錯誤する時間——それこそが学習の核になると考えています。
僕が教える側として「今ここを説明すればすぐわかる」と思う場面も正直たくさんあります。でも、そこをあえてグッと堪えて、生徒自身に考えさせる時間を確保します。
自力で正解を導いたときの達成感は、何よりも本人の学習意欲を引き出してくれます。
一方、高校生になると求められるのは、より一段上の「言語化する力」です。
たとえば数学なら「なぜこの公式を使うのか」、英語なら「どうしてこの表現が適切なのか」を、誰かに説明できるレベルで理解することが求められます。
ここでも僕たちは、生徒が自分の言葉で考えを整理するのを待ちます。すぐに答えを言わず、「今の考え方をもう少し詳しく言ってみて」「どうしてそう思った?」と問いかけることで、深い思考と学びが生まれます。
最近の大学入試でも、小論文や記述問題、面接など「表現力」が重視される場面が増えています。だからこそ、高校の段階でアウトプット力を育てておくことは、受験対策にも直結します。
アウトプット力を伸ばすには、「訓練」と「時間」が必要です。
最初はうまくいかなくて当然。むしろ、うまくいかないからこそ、「なぜできなかったのか」を振り返る材料になります。
生徒が答えに詰まったときには、「どこの話?」「なぜそう思った?」と5W1Hで少しずつ分解して、考えを引き出してあげます。
この“補助輪”の出し方とタイミングが、指導する側の大事な仕事です。そして、生徒がアウトプットに慣れてきたら、少しずつその補助を外していきます。
僕自身、「ここはもう教えたほうが早い」と感じることはたくさんあります。
でも、ぐっとこらえて、生徒が自分の力でアウトプットしきるまで待つようにしています。
それが長期的には、その子の「考える力」や「表現する力」につながるからです。
インプットとアウトプットは、どちらも大切。でも、アウトプットなしに成績は上がりませんし、知識は本当の意味で身につきません。
今日、ノートに書いたことを「言葉にする」「自分で解いてみる」——それだけでも、学習は変わっていきます。
僕たちは、そうした積み重ねを大切にした学びを、日々生徒と一緒に実践しています。
まとめ
勉強が「わかる」から「できる」になるには、アウトプットが欠かせません。
自分の頭で考えてみる、言葉で説明してみる、何度も解き直してみる——そうした経験を通じて、知識は本当に自分のものになります。
教える側として簡単に答えを伝えるのではなく、あえて教えすぎず、見守ること。
それが、アウトプットの力を育てる上でいちばん大切な姿勢です。
成績を伸ばすだけでなく、将来「考えられる人」になるために、日々の学習にアウトプットを取り入れていきましょう。
