「勉強しなさい」と言ってもなかなか動かない、机に向かってもすぐに集中が切れる……そんなお子さんの様子に、悩みや不安を抱えている保護者の方は多いのではないでしょうか。このページでは、やる気が出ない原因を心理・脳科学の観点からやさしくひもときつつ、子どものやる気を引き出すための具体的な方法を紹介します。「どうしてやる気が出ないの?」「何をしてあげればいいの?」という疑問に、山田塾の教育観も交えてお応えしていきます。
やる気のメカニズム
お子さんが「やる気を出せない」と言うとき、親としては「甘えているのでは?」と感じることもあるかもしれません。その気持ち、よくわかります。
しかし、やる気というのは単なる気分の問題ではなく、脳の働きや環境の影響を大きく受けるものです。特に子どもの脳は発達途中にあるため、「内発的動機づけ」がうまく働かないこともあります。
やる気(動機づけ)は、心理学では大きく「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」に分けられます。内発的動機づけとは、「楽しい」「もっと知りたい」といった本人の内側から湧く気持ち。一方、外発的動機づけとは、「褒められたい」「怒られたくない」といった外からの刺激による行動です。
脳科学の分野では、報酬系(特にドーパミン系)がやる気に関わるとされています。ドーパミンは「予想と現実のズレ(報酬予測誤差)」に反応して放出され、期待や好奇心を喚起します。この働きをうまく引き出せる環境が、子どものやる気に大きく関わってきます。
大切なのは、叱咤激励で動かそうとするのではなく、「興味」や「成功体験」によって脳が前向きに反応する仕組みをつくることです。
よくあるやる気の低下原因
「もともとは勉強が好きだったのに」「最近、急にやる気がなくなってしまった」——このような声もよく耳にします。
実際、子どものやる気が低下する原因には、いくつか共通する傾向があります。たとえば:
・達成感を得られない学習環境(難しすぎる/簡単すぎる)
・失敗経験の蓄積による自己効力感の低下
・親や先生からの期待がプレッシャーになっている
・スマホやゲームなど、即時報酬を得られるものへの依存
これらは、脳にとって「学び」がストレスや苦痛として認識される環境をつくってしまいます。たとえば、何をやっても「まだ足りない」「もっと頑張れ」と言われ続けると、子どもは「どうせやっても無駄だ」と学習性無力感に陥ることがあります。
また、現代の子どもたちはスマホによって情報刺激に常にさらされており、「集中を持続する力」が育ちにくいとも言われています。だからこそ、「やる気がない」のではなく「やる気をうまく引き出せていない」と考えてあげる視点が必要です。
やる気を引き出す方法3選
では、実際にどのような工夫をすれば、子どものやる気を引き出すことができるのでしょうか?以下の3つは、明日からご家庭で実践できる具体的な方法です。
①「小さな成功体験」を積ませる
やる気を引き出す最大のエネルギー源は「できた!」という実感です。問題集の難易度を調整して達成しやすくしたり、タイマー学習で集中の区切りを設けるなど、成功体験を意図的に設計しましょう。
②「本人が決めた」ことを尊重する
子どもが自分で目標を立てたり、スケジュールを決めたりすることは、内発的動機づけの強化につながります。親が与えた目標よりも、「自分で決めたこと」の方が頑張れるのは大人も同じですね。
③「結果」より「努力の過程」を褒める
点数や順位といった結果ではなく、「取り組み方」や「工夫したこと」に目を向けて言葉をかけてあげてください。努力を認められることで、自己肯定感が高まり、前向きな気持ちが生まれます。
これらの方法に共通するのは、「環境を整えて、子どもが前向きに取り組める状態をつくる」ことです。
山田塾での指導法
山田塾では、やる気を「育てる」ものとして捉えています。
子どもたちはそれぞれ違う背景、性格、学力を持っています。僕は、「できる・できない」ではなく「どうしたらできるようになるか」を一緒に考える姿勢を大切だと考えています。
指導の場では、あえて勉強と関係ない話をして能動的になってもらう時間をつくったり、怒るのではなく生徒としっかり話し合って個々の特性などを一緒に分析して対策を考えたりしています。
もちろん、厳しく注意することもありますが、常に「この子が頑張れる環境をつくるには何をすべきか」を考えながら接することを心掛けています。
明日からできる小さな一歩
「やる気を引き出す」と聞くと、大きな工夫が必要だと感じてしまうかもしれませんが、まずは日々のちょっとした関わりからで十分です。
・「今日はどんなことを頑張ったの?」と問いかけてみる
・できたことに対して「嬉しかったね」と共感を添える
・失敗しても「挑戦したことがすごいよ」と認める
こうした声かけは、子どもにとって「見てもらえている」「信じてもらえている」という安心感になります。
小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな自信へとつながります。今すぐ完璧にやる必要はありません。まずは「寄り添う姿勢」から始めてみてくださいね。
まとめ
子どものやる気を引き出すには、まず「どうしてやる気が出ないのか」を理解することから始まります。
子どもたちは自分なりに日々頑張っており、環境や心の状態によって気持ちが上下するのは自然なことです。大切なのは、その波に対して一緒に向き合い、少しずつ力を育んでいくこと。
山田塾では、子どもたちの「やりたい」「やってみよう」を育てる指導をこれからも大切にしていきます。
今日の一歩が、未来の自信につながるように。保護者の皆さまも、焦らず温かく、見守ってあげてください。
